2007年12月10日月曜日

何やら、わけの分からないタイトルですが、この言葉は世阿弥のだそうです。

週末の読売新聞に載っていたコラムからの抜粋ですが、デイーリングにも通じるものがありそうですので、ちょっと書いてみます。

距離をおいて見ること、すなはち客観視することが「離見の見」です。「我見の見」は、自分の肉眼で見える世界のことだそうです。
世阿弥は能の世界の人ですので、能に於ける所作などの舞(踊り?)のことについて述べたと思われます。つまり自分の舞が自分自身で知覚できるものとは別に、外からどのように見えているかを知覚できることの大切さを書いたと理解します。
自分自身を客観視することは、大変な修行の末に到達できる世界なのでしょう。普段から余裕のない生活を送っている自分としては、なかなか容易ではありません。

デイーリングにおいては、ポジションを作る時(エントリー)と手仕舞う時(クロージング)の他に、その中間点に位置している時があります。この3点に絞って考えると分かり易いでしょうか。
自分の意思と行為の結果によってポジションは作られます。同じように手仕舞う時も自分の意思と行為の結果のはずです。しかし、というか往々にして、手仕舞う時は自分の意思でないと考える人が多くいます。これは、自分の考え(シナリオ)とは逆に動いたのだから、自分の意思でなく市場の意思によって手仕舞ったと思うのではないでしょうか。
勉強会などで皆さんにお話しする時に、「ゲーム・プラン」の大切さを強調します。つまり、為替取引をする場合、入り口(ポジションを作る時)と出口(手仕舞う時)を想定して始めること。また、中間点にいる時にも出口の変更を求められることがあるので、ゲーム・プランはそのつど検証されるものなどの話です。
私もご他聞にもれず、自分勝手な人間です。デイーリングも唯我独尊、勝手気ままにやってきました。そんなやりかたでも、こうして30年以上関わってこれたのは結果として勝ち残ってこれたからだと思っています。プロの世界は、負けたら(ある期間において)終わりともいえます。勝てない人は他の部署に移るか、辞めるかしかないのです。
もちろん、運が良かったことが一番ですが、小心な自分を良く知っていたことも大きな理由だと考えています。「唯我独尊、勝手気まま」と書きましたが、その実は、頭の中で計算していた事実です。
これがゲーム・プランです。デイーリングですから、勝つこともあれば負けることもあります。その結果として、少しでもプラスを残していくのがプロだと思ってます。
頭の中で計算していたとは、自分のゲーム・プランの検証と修正であり、少しでもプラスを残すという冷たい数字のやりとりに他ありません。
自分の書いたシナリオは美しいものです。しかし時としてシナリオの変更が求められます。美しさにこだわっていると、現実から遊離することも出てきます。その時のブレーキが数字なのです。数字は現実であるといえます。
ここで「数字」と言うのは、予算であり利益目標、限界損失でしょうか。いずれにしても「数字」の設定と把握は必要不可欠なものです。

デイーリングをしていると1日の間に天国と地獄を経験することもあります。油断をしていると幸運の女神はあっという間に目の前を通り過ぎ、ジワジワと真綿で首を絞められる地獄の苦しみは永遠に続くと思われます。実はこの両方の状況こそがデイーリングの醍醐味なのかもしれません。
時として、識者は「相場取引」を麻薬に例えますが、デイーリングの醍醐味による脳内酵素(何と呼ぶか知りませんが)の増大が麻薬の中毒症状に似ているのかもしれません。
長くなりましたが、デイーリングはお金に関わってくる取引ですので、どうしても欲(利益)と恐怖心(損失)の戦いになります。だからといって自分のシナリオに陶酔することを否定することにはなりません。

自分のシナリオは、いうなれば「我見の見」です。そこに数字という現実で常に検証をかける「離見の見」を用いることを普段から心がけていただければ、と自戒を込めて希望します。

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